先日、新潟建築士会北魚沼支部主催の講習会に参加してきました。今回の講習では、建築実務において特に重要な3つのテーマについて学ぶ機会を得ました。日々の実務で直面する課題や最新の法改正への対応など、実践的な内容が盛りだくさんでしたので、その内容をまとめてご報告します。
道路関係規定の見直し

建築基準法における道路関係の規定は、建築計画の根幹を成す重要な要素です。今回の講習では、実務でよく扱う道路種別について改めて整理する機会となりました。
位置指定道路について
位置指定道路は、特定行政庁から道路としての位置の指定を受けた私道です。開発行為に伴って設けられることが多く、幅員4メートル以上が基本要件となります。講習では、位置指定を受けるための技術的基準や、指定後の管理責任について詳しく解説がありました。特に、位置指定道路の廃止や変更には厳格な要件があることを再確認しました。
2項道路の取り扱い
いわゆる「みなし道路」として知られる2項道路は、建築基準法施行時に既に建築物が立ち並んでいた幅員4メートル未満の道です。この道路に接する敷地では、道路中心線から2メートル後退したラインが道路境界線とみなされます。
講習では、セットバック部分の取り扱いや、敷地面積の算定方法について具体例を交えた説明がありました。また、2項道路に関する許可申請の際の注意点についても詳しく学ぶことができました。
接道義務の確認
建築物の敷地は、原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければなりません。この接道義務は建築安全上の基本要件ですが、例外規定や許可制度も存在します。
講習では、接道義務を満たさない敷地での建築を検討する際の許可申請手続きや、必要となる安全上の措置について実務的な解説がありました。特定行政庁との事前協議の重要性も強調されていました。
違反建築物への対応

建築基準法違反は、建築士として決して関与してはならない事案です。今回の講習では、違反事例とその対応について重点的に学びました。
無確認建築の問題
建築確認申請を行わずに建築物を増築・改築したり、昇降機を設置したりする行為は、建築基準法違反となります。講習では、実際の違反事例を基に、どのような状況で違反が発生しやすいか、またそれがどのような問題を引き起こすかについて詳しい説明がありました。
建築主が「小規模だから大丈夫」と誤解しているケースや、工事業者が確認申請の必要性を理解していないケースなど、様々な要因で違反が生じることがわかりました。
違反発覚後の対応
違反建築物が発覚した場合の行政の対応手順や、是正に向けた手続きについても学びました。特定行政庁による指導、勧告、命令という段階的な行政措置の流れや、最悪の場合には告発に至る可能性についても説明がありました。
建築士としては、違反を未然に防ぐための建築主への適切な説明と、確認申請の必要性を正しく判断することの重要性を改めて認識しました。
2025年改正建築基準法への対応

建築基準法は定期的に改正が行われており、実務者としては常に最新の基準に対応していく必要があります。今回の講習では、2025年改正に関する実務上の重要ポイントについて詳しく学びました。
確認申請での指摘事項が多い内容
法改正後、確認申請の審査で指摘を受ける事例が増えているポイントについて、具体的な解説がありました。
経過措置の記載について
法改正に伴う経過措置の適用を受ける場合、その旨を申請書に明記する必要があります。記載漏れや不明確な記載により補正を求められるケースが多いとのことで、記載例を参考に正確な記述方法を学びました。
構造計算の有無の明示
構造計算を行ったかどうか、また特例を適用しているかどうかを明確に記載することが求められます。特に木造建築物における4号特例の適用について、改正により取り扱いが変わっている点に注意が必要です。
火気使用室の換気規定
火気使用室における換気設備の風量計算に関する記載不備が目立つそうです。必要換気量の算定根拠を明確に示し、計算過程を記載することがポイントとなります。
完了検査に関する実務上の疑問点
完了検査の際の実務的な取り扱いについて、質疑応答形式で学ぶことができました。
工事写真の添付については、申請書への添付義務はないものの、検査時に求められる場合があるため、重要な工程については記録を残しておくことが推奨されました。また、完了検査後に軽微な是正が必要となった場合の対応方法についても確認しました。
省エネ基準工事監理報告書の作成ポイント
建築物省エネ法に基づく工事監理報告書の作成方法について、詳しい解説がありました。
仕様基準を使用する場合
仕様基準に適合させる設計を行った場合は、各部位の仕様が基準に適合していることを確認し、その旨を記載します。外壁、屋根、開口部などの断熱性能や、設備機器の効率について、基準値との対応を明確にすることが重要です。
標準計算を使用する場合
エネルギー消費性能の計算を行った場合は、計算結果の概要と基準への適合状況を記載します。仕様基準と標準計算では報告書の記載内容が異なるため、使用した評価方法に応じた適切な記載が求められます。
講習では、実際の報告書の記載例を見ながら、どのような情報をどの程度詳しく記載すべきかについて学ぶことができました。
まとめ
今回の講習会を通じて、日常業務で取り扱う基本的な事項の再確認から、最新の法改正への対応まで、幅広い知識をアップデートすることができました。
特に印象に残ったのは、確認申請や完了検査において、形式的な書類の整備だけでなく、その背景にある法の趣旨を理解することの重要性です。建築基準法の各規定は、建築物の安全性や居住環境の確保という明確な目的を持っています。その趣旨を理解した上で実務に当たることで、より適切な判断ができるようになると感じました。
また、省エネ基準への対応については、今後ますます重要性が増していく分野です。工事監理報告書の作成方法を含め、実務に即した知識を得られたことは大きな収穫でした。
建築士として、常に最新の知識を更新し、適切な業務を遂行していくことの重要性を改めて認識する良い機会となりました。新潟建築士会北魚沼支部の皆様、そして講師の方々に感謝申し上げます。
※本記事は講習会で学んだ内容をまとめたものです。実務での適用に際しては、最新の法令や特定行政庁の運用を必ずご確認ください。
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