雪国の暮らしを快適にする「雪冷熱を利用した住宅や施設」の工夫

雪国って、美しい自然や四季の魅力はありますが、冬の寒さや雪の多さは本当に大変ですよね。

そんな雪国ならではの知恵として注目されているのが 「雪冷熱を利用した住宅や施設」 です。

冬に積もった雪や外の冷たい空気を「冷房や保存に使える冷たいエネルギー」として活用し、夏は冷房に、冬は保温や食品保存に。

これまで「雪は片付けるもの」と考えられていたのが、「雪を資源として活かす」考え方に変わってきています

目次

新潟県小千谷市の事例

新潟県小千谷市に建てられた雪冷熱エネルギーを利用した住宅は、設計を当事務所の前身であるアクト設計、施工をアクトホームが担当した先進的な例です。

雪室(ゆきむろ)を基礎部分に設置

冬に約30トンの雪を高床式住宅の高床(基礎)部分に計画した雪室に貯めて、断熱材で覆い、夏の終わりまで冷気をキープ

住宅の冷房に活用

雪の冷気を循環させることで、真夏でも室温は25℃前後で快適

地域資源の保存にも役立つ

雪室の隣のスペースは、そば・お米・お酒などの貯蔵庫としても活用可能
低温・高湿の環境は、食材を長持ちさせるのにぴったりで、地域の食文化を守る役割も担っています

省エネ効果もばっちり

従来のエアコンだけで冷やすより、夏の電力消費が約30~40%削減、冷房のピーク時の電力負荷も分散でき、電気代の節約にも。冬は雪室の冷熱を保温材代わりに使うことで、暖房の一部も節約できます。

実証試験でわかった課題と改善策

3年間の試験で、省エネ効果はもちろん課題も明らかになりました。

  • 断熱材が劣化すると冷気が逃げやすい
    → 定期的にチェックして、劣化部分は交換
  • 湿度管理が不十分だと食品の保存性に影響
    → 換気や吸湿材を置いて湿度を調整
  • 雪が少ない年は冷房効果が安定しにくい
    → 雪を集める場所を複数用意して事前に確保
  • 初期費用やメンテナンス負担
    → 建設前に費用対効果を確認し、長期的な省エネ効果を考慮

まとめ

小千谷市の雪冷熱エネルギー住宅は、住宅だけでなく食品貯蔵庫や地域施設にも活用できる先進例です。

  • 雪を「負担」から「資源」に変換
  • 冷房の電力を夏で30~40%削減
  • 域の食文化や資源の保存にも活用
  • 課題も改善策と一緒に次世代施設に反映可能

快適性、省エネ、地域文化の継承、すべてを兼ね備えた雪国の新しい暮らしのモデルとして、とても参考になります。当事務所の制作実績についても、ぜひご覧ください。

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