雪が降る前に、もう設計は始まっています― 除雪車庫の設計から見えてくる、雪国建築の視点 ―

こんにちは、アーキワイド一級建築士事務所です。

9月に入り、まだ暑さの残る毎日ですが、私たちの仕事では、すでに冬の雪について考え始めています。現在進めている「除雪車庫」の設計を通して感じている、雪国ならではの建築の視点をお伝えします。

「車が入る箱」ではなく、「雪が降った後の景色」を設計する

除雪車庫と聞くと、除雪車を収納するための大きな建物、というイメージを持たれるかもしれません。もちろんそれも大切な機能ですが、雪国の除雪車庫を設計する際に本当に考えなければならないのは、「雪が降ったとき、この建物とその周辺で何が起こるか」という点です。

屋根に積もる雪の重さに建物は耐えられるか、雪はどこに落ちるのか、除雪した雪をどこに置くのか、車両は雪が積もった状態でも安全に出入りできるか。こうした一つひとつを、設計の初期段階から想像しながら形にしていきます。雪が降ってから対応を考えるのではなく、雪が降る前に「降った後」を思い描いて設計する。これが雪国建築の基本姿勢だと考えています。

図面の上にも、「人」と「車」と「雪」の動きがある

除雪車庫では特に、車両の動きが重要になります。除雪作業に使われる車両は一般的な乗用車とは大きさも高さも異なり、雪が積もった状態での出入りも想定しなければなりません。「車庫に収まるか」だけでなく、「雪があってもスムーズに出られるか」まで考える必要があります。

また、除雪作業は早朝や夜間に行われることも多く、照明や換気、作業スペース、点検のしやすさといった、建物を使う人の視点も欠かせません。設計図の上では線と数字で表現されていることも、現場では実際に人と車と雪が動いています。その動きを何度も頭の中でシミュレーションしながら、図面に落とし込んでいきます。

住宅も同じ。冬の暮らしを想像して設計する

ここまで読むと、「除雪車庫だからそこまで雪を意識するのでは」と思われるかもしれませんが、実は住宅の設計でも同じ考え方をしています。屋根から雪がどこに落ちるか、玄関までの動線がふさがれないか、エアコンの室外機や給湯器が雪に埋もれないか、雪庇ができる場所はないか、除雪した雪の置き場はどこか。こうしたことは、建物だけを見ていても気づきにくく、冬の暮らしを具体的にイメージして初めて見えてきます。

だからこそ私たちは、住宅の設計においても「夏の暮らし」だけでなく「冬の暮らし」まで含めて考えるようにしています。雪は困りごとの原因になる一方で、雪冷熱のようにエネルギーとして活用する考え方もあります。雪を「困るもの」としてだけでなく、「どう付き合っていくか」という視点を持つこと。それもまた、雪国の建築を考えるうえで大切なことだと感じています。

9月に入っても、しばらくは冬の雪を想像しながら図面を描く日々が続きます。少し不思議な仕事のようですが、これも雪国で建築を設計する私たちの日々の仕事のひとつです。これからもアーキワイドでは、雪と建築の関係を見つめながら、一つひとつの建物を設計していきたいと思います。