最大震度7の熊本地震を受けて ― 私たちが今、住まいについて考えるべきこと ―

7月28日、熊本県を震源とする最大震度7の地震が発生しました。震源が浅かったこともあり、九州各地で非常に強い揺れを観測し、住宅やライフラインに大きな被害が生じています。余震も続いており、気象庁は引き続き強い揺れへの警戒を呼びかけています。

このたびの地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

新潟県に暮らす私たちにとっても、この地震は決して他人事ではありません。2004年の中越地震、2007年の中越沖地震など、私たちの地域もこれまで幾度となく大きな揺れを経験してきました。建築設計に携わる者として、この機会に改めて「住まいの安全性」について考えていただきたいと思います。

「うちは大丈夫」という思い込みが一番危ない

地震は、いつ、どこで発生するかを正確に予測することができません。「自分の地域は大丈夫」「築年数もそれほど古くないから安心」——そう思っていても、大きな揺れは突然やってきます。

今回の熊本の地震でも、多くの建物が強い揺れに見舞われ、停電や断水など生活インフラにも深刻な影響が出ています。住宅は毎日を過ごす場所であると同時に、いざという時に家族の命を守る役割を担っています。

耐震性能は、普段の暮らしの中では目に見えにくい性能です。しかし、災害が起きた瞬間、その差が家族の安全を大きく左右します。「まだ大丈夫だろう」ではなく、「今のうちに確認しておこう」——その意識の切り替えが、防災への第一歩になるのではないでしょうか。

今日からできる、住まいの地震対策

地震への備えというと、大掛かりな耐震改修を思い浮かべる方も多いかもしれません。もちろん耐震診断や耐震補強は重要ですが、それ以外にも今日から始められることがたくさんあります。

・背の高い家具を固定する
・寝室に家具が倒れてこない配置にする
・非常用持ち出し袋を準備しておく
・家族で避難場所や連絡方法を確認しておく

こうした小さな備えの積み重ねが、いざという時の被害を大きく減らすことにつながります。

あわせて、住宅そのものについても一度確認していただきたい点があります。1981年以前の「旧耐震基準」で建てられた住宅はもちろん、それ以降の住宅であっても、増改築や経年劣化によって耐震性能が低下しているケースがあります。基礎に大きなひび割れはないか、シロアリなどによる構造材の劣化はないか——定期的に住まいの状態を確認することも大切です。

住まいは建てて終わりではありません。長く安心して暮らすためには、適切な点検とメンテナンスを続けながら、安全性を維持していくことが欠かせません。

設計事務所だからこそできる、「命を守る設計」

私たち設計事務所の仕事は、見た目の美しい建物をつくることだけではありません。「その建物で安心して暮らせること」「災害が起きても家族を守れること」——これも設計における非常に大切な役割だと考えています。

住宅を計画する際には、間取りやデザインだけでなく、

・耐力壁の配置バランス
・構造計画
・基礎の設計
・地盤の状況
・建物全体の重心や剛性のバランス

など、目に見えない部分まで丁寧に検討しています。耐震性能は、柱や壁をただ増やせばよいという単純なものではありません。住まい全体のバランスを考えながら、安全性と快適性を両立させることが重要です。

また、新築だけでなく、既存住宅についても耐震診断やリフォームによって安全性を高められるケースは少なくありません。

今回の地震は、多くの方にとって防災を見つめ直すきっかけになったのではないでしょうか。私たちも、この出来事を教訓として受け止め、「安心して暮らし続けられる住まい」を一棟一棟、丁寧に設計していきたいと考えています。

地震そのものを防ぐことはできません。しかし、被害を小さくするための備えはできます。この機会にぜひ、ご自宅の安全性やご家族の防災について、一度話し合ってみてはいかがでしょうか。