季節を味方にする家づくり―雪国・新潟の四季をデザインする

雪国というと、厳しい冬のイメージが先行しがちです。しかし、新潟をはじめとする雪国には、豪雪地帯だからこそ味わえる豊かな四季があります。

春の雪解けの喜び、夏の鮮やかな緑、秋の実りと紅葉、そして静謐な雪景色。この土地ならではの季節の移ろいを、住まいの中から存分に感じられる―そんな家づくりを、今日はご紹介したいと思います。


目次

春:雪解けとともに目覚める家

光が戻る喜び

長い冬を越えた春は、雪国に暮らす人々にとって特別な季節です。雪が溶け、陽射しが強くなり、大地が目覚める。

南側に大きな開口部を設けることで、春の柔らかな光を室内いっぱいに取り込むことができます。吹き抜けやハイサイドライトを活用すれば、家の奥まで光が届き、冬の間に閉ざされていた空間が一気に明るくなります。

芽吹きの季節を五感で楽しむ

雪国の春は、生命の息吹を強く感じる季節です。雪の下から顔を出す福寿草、芽吹き始める木々の新緑、土の香り――長い冬を耐えた分だけ、春の訪れの喜びはひとしおです。

雪国だからこそ、春の芽吹きの美しさは格別です。住まいの窓を通して、その変化を日々感じられる配置を心がけています。

庭との一体感

雪解けとともに現れる庭は、春の訪れを最も身近に感じられる場所です。

  • リビングから庭へ続くウッドデッキ
  • 大きな掃き出し窓で内外をつなぐ設計
  • 土間テラスで気軽に外と行き来できる動線
  • キッチンの窓辺にハーブや山菜を配置し、成長を楽しむ

外と内の境界をゆるやかにすることで、芽吹きの季節を五感で楽しめる住まいになります。


夏:涼を呼び込む工夫

日射遮蔽と通風

雪国の夏は意外と暑くなります。しかし、適切な設計で自然の力を活かせば、快適に過ごせます。

深い軒と庇
夏の高い太陽を遮りながら、冬の低い日差しは室内に取り込む。昔ながらの知恵を現代の設計に活かします。

風の通り道をつくる

  • 南北、または東西に窓を配置して風を通す
  • 高窓や吹き抜けで上昇気流を利用
  • 格子戸や障子で風を感じながらプライバシーも確保

緑陰を楽しむ―ただし、適度に

落葉樹を南側に配置すれば、夏は葉が茂って日陰をつくり、冬は葉が落ちて陽光を取り入れられます。

ただし、豪雪地帯では樹木の雪囲いや雪下ろし、枝折れの処理など冬の管理が負担になることも。シンボルツリーを1〜2本程度に絞り、管理しやすい配置と樹種選びが大切です。

植栽計画のポイント

  • 雪に強く管理しやすい低木を選ぶ
  • 建物に近すぎない位置に配置
  • 雪囲いや剪定の手間を考慮した本数に
  • 紅葉が美しい樹種なら、秋も楽しめる

濡れ縁や縁側を設ければ、木陰の下で涼みながら庭を眺める―そんな贅沢な時間を過ごせます。


秋:実りと色づきを愛でる

庭の実りを楽しむ設計

秋は収穫の季節。果樹を植える場合は、雪に強い品種を選び、本数を絞って管理しやすくすることが大切です。家庭菜園なら、春から秋だけ楽しめるプランターや移動式の花壇も選択肢になります。

  • キッチンから庭が見える配置
  • 土間や勝手口で収穫物をすぐに運べる動線
  • 保存食づくりのためのパントリーや土間収納

住まいと庭、食卓がつながることで、季節の実りがより身近になります。

紅葉を楽しむ窓辺

モミジやナナカマドなど、紅葉の美しい樹木を窓の正面に配置すれば、リビングや書斎から秋の色づきを楽しめます。

朝の光に照らされた紅葉、夕暮れに染まる葉―窓を計画的に配置することで、季節の絵画を楽しむような暮らしが実現します。


冬:雪景色を楽しむ暖かな住まい

内側から雪を愛でる

雪国の冬は厳しいですが、だからこそ暖かな室内から眺める雪景色は格別です。

大きな窓と高断熱の両立

  • トリプルガラスと樹脂サッシで断熱性能を確保
  • 窓辺に床暖房やスポット暖房を設けて冷気対策
  • 窓枠にベンチシートを計画すれば、特等席で雪景色を楽しめる

光と影のコントラスト

雪は天然のリフレクター。積もった雪が太陽光を反射し、曇りの日でも明るい室内になります。

軒先の雪、樹木に積もる雪、静かに降り続ける雪―刻々と変わる表情を、暖かな室内から眺める贅沢。

冬の暮らしを豊かにする空間

  • 薪ストーブのある土間リビングで炎を囲む
  • 吹き抜けのある広々とした空間で開放感を
  • 本棚や趣味スペースで、家の中での時間を充実させる

冬を「こもる季節」ではなく、「家での時間を楽しむ季節」にする設計です。


四季をつなぐ、住まいのデザイン

季節の変化を意識した素材選び

  • 無垢の木材:経年変化で味わいが増し、四季の温度変化にも馴染む
  • 塗り壁:湿度を調整し、夏も冬も快適な室内環境を保つ
  • 石や土間:夏はひんやり、冬は蓄熱性を発揮

自然素材は、季節の変化とともに呼吸し、住まいを心地よく整えてくれます。

可変性のある空間づくり

  • 障子や引き戸で空間を仕切ったり開放したり
  • 夏は開け放ち、冬は閉じて暖める柔軟性
  • ライフステージに合わせて使い方を変えられる余白

時間とともに変化する暮らしに寄り添う、柔軟な設計を心がけています。


雪国だからこその豊かさ

四季がはっきりしている雪国だからこそ、季節の移ろいを敏感に感じ取ることができます。

春を心から喜び、夏の緑に癒され、秋の実りに感謝し、冬の静けさに心を落ち着ける。そんな暮らしを、住まいの設計でサポートしたい。そう考えています。

家は単なるシェルターではなく、この土地の四季とともに生きる場所です。雪国の豊かな四季を存分に楽しめる住まいを、一緒につくりませんか。


季節を楽しむ家づくりのご相談は、お気軽にお問い合わせください。
敷地の環境や暮らし方に合わせて、あなただけの「四季を感じる住まい」をご提案します。

CONTACT
お問い合わせ

ARCH WIDEでは、そこに生まれる「暮らし」「働き方」「地域」「人と人の関係」など、
“その先の広がり”を大切に設計しています。

雪国小千谷市の建築設計事務所だからこその知識、技術をご体感ください。

まずはお気軽にお問合せください。

目次