――雪国だからこそ、設計でできること――
2月に入り、小千谷市近辺では各地で2メートルを超える積雪量となっています。今年も各地で大雪となり、私たちの暮らしはあらためて「雪」と向き合う時間が増えています。雪は風景としては美しく、季節を感じさせてくれる存在ですが、一方で生活の中では大きな負荷にもなります。
設計事務所として建築に携わる私たちは、雪を単なる自然条件として受け流すのではなく、設計の前提条件として丁寧に読み解くことを大切にしています。ここでは、大雪に対して私たちが設計で意識しているポイントを、3つの視点からご紹介します。
雪を受け止め、流す「かたち」の設計

大雪への設計で、最も分かりやすく影響が現れるのが屋根のかたちです。切妻屋根、片流れ屋根、緩勾配・急勾配。それぞれに雪の溜まり方や落ち方が異なり、敷地条件や周辺環境によって最適解は変わります。
私たちが屋根計画で重視しているのは、雪下ろしのしやすさ、落雪位置の安全性、隣地や道路への影響、除雪作業の動線といった要素です。これらを総合的に検討し、単に「雪が落ちる」だけでなく、落ちた後の雪がどう扱われるかまで想定した設計を行います。
また、深い軒や庇は、雪や雨を防ぐだけでなく、外壁や開口部の劣化を抑え、建物を長持ちさせる役割も担います。さらに、窓や外壁を落雪や積雪から守る雪囲いも、雪国の建築には欠かせない要素です。雪囲いは冬期間の建物保護として伝統的に用いられてきましたが、設計段階から雪囲いの取り付けやすさ、保管場所、見た目への配慮を織り込むことで、より快適で美しい雪国の住まいが実現します。
雪国の建築において、外観のデザインと雪対策は切り離せない関係にあります。美しさと機能性を両立させることが、雪国ならではの設計の醍醐味でもあります。
雪の日でも暮らしが続く「動線」の設計
大雪の日ほど、「外に出るまで」が暮らしのハードルになります。玄関から駐車場まで、勝手口からゴミ置き場まで、ほんの数メートルの移動が大きな負担になることも少なくありません。
そこで重要になるのが、深い軒や雁木(がんぎ)といった、雪国ならではの建築的動線です。雨や雪を避けながら移動できる半屋外空間は、日常のストレスを確実に減らしてくれます。冬の朝、雪かきをしなくても車まで辿り着ける。そんな小さな工夫が、暮らしの質を大きく変えます。
また、建物の配置計画では、除雪スペース、雪捨て場、駐車場の出入り、道路との関係といった要素を設計初期から織り込みます。図面には描かれにくい部分ですが、暮らし始めてから「ここに雪が溜まる」「通れない」とならないための大切な設計視点です。
雪の日でも生活が止まらないこと。それは設備だけでなく、動線計画によって支えられています。
雪に閉ざされない「室内環境」の設計

大雪の日は、自然と家の中で過ごす時間が長くなります。だからこそ、室内環境の質は暮らしの満足度に直結します。
私たちが目指すのは、断熱・気密性能を高め、足元から冷えにくい空間をつくることです。窓の配置や大きさを工夫し、雪景色の明るさを室内に取り込むこと。外は厳しい環境でも、中に入るとほっとできる建築を目指します。
雪国特有の課題として、雪による湿気や結露への配慮も欠かせません。見えない部分の性能や素材選びこそ、設計事務所として丁寧に向き合うべき領域だと考えています。換気計画、断熱材の選定、開口部の性能。これらの積み重ねが、長く快適に住み続けられる住まいをつくります。
雪に「耐える家」ではなく、雪とともに暮らすことを前提とした、心地よい住まい。それが雪国における設計の目標です。
雪国に根ざした設計を続けるために
大雪は、毎年繰り返される自然現象です。だからこそ、その土地の気候を理解し、経験を積み重ねながら、設計に反映していくことができます。
地域の暮らしに寄り添い、大雪の日でも「いつも通りの生活」が続く建築をつくること。それが、雪国で設計を行う私たちの役割だと考えています。
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