変わらないものと、変えていくもの

― 新しい年に、設計の軸を見つめ直す ―

あけましておめでとうございます。

新しい年の始まりは、これまでの歩みを振り返りながら、これから先の設計のあり方を静かに考える時間でもあります。

社会や制度、技術は年々変化していきます。一方で、建築が支える「暮らし」そのものには、時代が変わっても変わらない価値があると私たちは感じています。

本年最初のブログでは、設計において私たちが変えずに大切にしていることと、時代に合わせて更新していくことについて、三つの視点からお話ししたいと思います。

変わらないもの ― 風景と記憶に寄り添うこと

建築は、完成した瞬間からその土地の風景の一部になります。

新潟・中越の地域では、雪、空の色、山の稜線、静かな集落の佇まいなど、長い時間をかけて育まれてきた風景があります。それらは一度壊してしまえば、簡単には取り戻せません。

設計をする際、私たちは「新しさ」を優先する前に、この場所にすでにある価値や記憶に目を向けるようにしています。

それは古い建物をそのまま残す、という意味ではありません。大切なのは、なぜその形になったのか、どのように使われ、親しまれてきたのか、といった背景を読み取り、次の時代へどう引き継ぐかを考えることだと捉えています。

建物は、使われ続けることで地域の記憶を静かに蓄積していきます。その積み重ねに敬意を払う姿勢は、これからも変わることはありません。

変えていくもの ― 使われ方と性能の更新

一方で、暮らし方や社会の仕組みは確実に変化しています。

家族構成の変化、働き方の多様化、エネルギーや防災への意識の高まり。公共施設においても、求められる役割は年々広がっています。

こうした変化に対して、建築が柔軟に応えていくことは欠かせません。

性能面では、断熱性や耐震性、省エネルギー性能など、今の基準に合わせた更新が必要です。また、使われ方についても、将来の変化を見据えた余白や可変性が求められます。

特にリフォームや改修の設計では、「残す部分」と「更新する部分」を丁寧に見極めることが重要です。すべてを新しくするのではなく、今ある建物の良さを活かしながら、これからの暮らしに合う形へ整えていく。

変えるべきところはしっかりと変える。その判断を誠実に積み重ねていくことが、建築の寿命を延ばし、長く愛される建物につながると考えています。

これからの設計 ― 変わらない軸を持ちながら進む

新しい年を迎えるたびに、設計を取り巻く環境は少しずつ変わっていきます。制度、技術、社会の価値観。それらに目を閉じることはできません。

しかし、どれだけ環境が変わっても、「誰のための建築なのか」「どんな日常を支えるのか」という問いは変わらないはずです。

私たちはこれからも、土地や風景に向き合い、使う人の時間の流れを想像しながら、一つひとつの設計に取り組んでいきたいと考えています。

変わらない軸をしっかりと持ちながら、必要な部分は柔軟に更新していく。その積み重ねが、地域にとって無理のない建築につながると信じています。

本年も、設計を通じて暮らしと風景を支えるお手伝いができれば幸いです。2026年が、皆さまにとって穏やかで実りある一年となりますように。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。